まだ少し身体の調子が本物ではないので、とりあえず画像だけでもと思いこの項を書き始めました。日本市場はアブにとってとても重要なマーケットで、日本でしか発売されなかった、それゆえ他国のアブコレクターにとっては垂涎の的になっているモデルが多数存在するのです。この項では、エビスフィッシングのカタログから抜粋した(無断借用ですけど)画像を主に取り扱っていきたいと思います。

先ず皆さんの頭に浮かぶのは、1982年頃から発売された旧パーツを使用したオールドルッキングのリール達ではないでしょうか?ご覧の様に、1500C、2500C、5000C、5500Cが先ずカタログに姿を表します。ここで特筆すべきは、先ず2500Cのモデルネームの表示方法でしょう。ブロンズっぽい仕上げの厚さ3ミリほどのプレートが左サイド下部に貼り付けられているのですが、こんなモデルは他のどの国を見ても発見できません。

ハンドルの仕様を見ても、カタログ上のモデルからは年代との整合性が感じられません。砲弾型のカウンターバランスは、主に1970年代初め頃までに使用されたものだった筈だからです。小さなクレストマークにブロンズ?製のモデルプレート、これはサイドプレートにボンドでくっ付けてあるだけの代物なのですが、まさにそれまでのアブのリールとは違う様相を呈しています。この頃の1500Cで、スモールのツインノブハンドルを標準で付けているものが多いのも、かなり変わった現象だと思います。パーツの細部を見ると、まるで先祖帰りしたようです。

画像はアブのその名もレコード。何ともすごい名前を付けたものですが、日本市場でのみ販売された特別限定モデルです。実質は4600CBにRecordの銘を左プレートに刻印し、金色のクレストマークに付け替えてプレートカラーも黒く変えたものですが、僕が知る限り、このリールが他の国で販売されたという事実を知りません。おそらくはエビスフィッシングの企画による限定生産をてこにしたスペシャルモデルで、何よりも箱に張られたSpecial Limitedというステッカーと、コードナンバー901199という数字が、その特殊性を表している様に感じられます。

1986年度版のエビスカタログには、引き続き2500Cのブロンズプレートや5000Cの波型(しかもゴシックロゴ!)という変なモデル達に加えて、1500Cブラックというのまで新たに仲間入りです。しかしこの頃には量販店ではこれらのオールドモデルを実際に目にする機会はかなり減っていたように思います。カタログには載っているのに、残っている在庫分しか実際のストックはなかったものと推察されます。

1987年のカタログでも、しつこく掲載され続けているオールドルッキングのモデル達。しかし実際に店舗でこんなにずらりと揃っていたことがあったのでしょうか?僕は地方の人間だったので、実際に目にする機会には恵まれませんでした。カタログにある通り、果たして1500Cの登場は1982年だったのでしょうか?僕は1977年製の1500Cを所有しているのですが……。実際に1987年になって、これらのオールドルッキングモデル達は店頭に並んでいたのでしょうか?僕自身は、以前製造したものの売れ残りというのが本当のところでは、と疑っています。

これらオールドルッキングのモデル達は、日本市場でのみ咲いたあだ花と言うことができるかもしれません。並行輸入による価格競争の激化、日本製品の品質の上昇と、それに伴う競争の激化、メードインスエーデンとしてのクラフトマンシップを次第に失い、色褪せていく旧モデル達。実際に内部に使用されているパーツは、もはや70年代と同じものではないのです。最後に消え行くはかない閃光の軌跡、一人よがりかも知れませんが、僕はこれらのオールドルッキングモデル達を見るたびに、アブマニアとしてはかない悲しみを禁じえないのです。